花
病室で鉢合わせしたら避けられない と 思い、
和は恐る恐る、訊いた。
凛は少し考えるような素振りを してから、言った。
「うーん、
今日は宗谷くんとは、そういう話 全然して ないんだよね。
宗谷くん、気紛れで……笑
急に ふらっ と 現れたり するからなぁ…。
だから もしかしたら、
今日も もう行ってるかも だけど…」
「…そっか、分かった。
あ、
私…、やっぱり今日は やめとく!
…ちょっと教室に戻らなきゃ いけなくて 笑
また今度、病院に行く時 誘ってくれる?」
さっきまで暇そうに校内を うろうろ していた癖に、
いきなり用事がある なんて言っても、信じて貰えないかも しれない と 思ったが、
何でも無いような振りをして、和は言った。
しかし…
凛が黙って頷いて、更に蓮までもが″そっか~。じゃあ またねぇ♪″と和を見送っていたから、
和は否応なしに教室の方へと、向かう振りも しなければ ならなかった。
歩いているうちに、
また校内を うろついて二人に遭遇しても怪しまれるだけだし、
この時間なら教室も誰も居ないだろうし と 思い、
和は そのまま教室に、向かった。
教室なら、それこそ仮に見つかった と しても、″忘れ物″で ごまかせるし…
などと考えて、無意識に教室のドアを がらっ と 開ける。
「…………………」
…もう、何度目だろう。
誰も居なくなった教室に、一人 佇む貴史を見るのは…。
ただ、今日の貴史は窓の方を向いていて、
そーっ と 開ければ それでも まだ気付かれなかった かもしれないのに、
無遠慮に思い切りドアを開けた事を、和は今更ながらに後悔した。
同時に、
病院に行けば貴史に遭遇するかも、と思って病院の方を断ったのに、
″こんな事なら、凛ちゃん達と病院に行けば良かった″と、心から思った。