歩み


一度でいいから、笑顔で大空を羽ばたいてみたい。
それは夢のまた夢なのかな?



司の頬が赤く染まっていく。
俺が殴った跡だ。
司の肌が白いのか、赤色が目立っている。



「…お前がいなければ…」



「バカじゃねぇの?
このままだとお前はずっとそのままだよ。本当に愛してくれている人が分からないまま過ぎていって、いつまでも一人だな。早く気づけば?」



俺は立ち上がり、司から離れていく。
見下ろすと、司は上を向いて放心状態のままだった。
俺に全てを言い終えたのか、それとも俺に本当のことを言われて考えているのか、どちらか分からない。

けど、きっと変わってくれるはずだ。



「司、悪いけど、俺は沙紀を守りにいく。お前はもう沙紀を守れない」



こう司に言い捨てて、先へと進んだ。
そして本来の目的に戻る。
それは、塚本明日香。


どこにいるのだろう?と思いながら、ふと調理室を見ると、その教室の中には、窓から空を眺める、塚本明日香の姿があった。



俺はドアを開けて、教室に入っていく。



「塚本…」



「歩くん…、私って最低だよね…。だけど…大好きなんだ…」








< 130 / 468 >

この作品をシェア

pagetop