歩み
そうした理由はさっき司に聞いた。
沙紀に裏切られた腹いせと、俺の存在を消すための2つ。
そうさせるには協力者が必要で、それは明日香。
明日香は司の命令に従って、あの噂を流したようだ。
でも、なぜ明日香?
思い出される、司の言葉。
『アイツは俺の言うことを聞いてくれる』
アイツというのはやはり明日香のこと?
そう考えれば考えるほど、また司に怒りを覚えた。
「…なんでアイツの言うことを聞くんだよ…」
キツイ言葉を言うと、明日香は傷つくはずだ。
だから言葉を柔らかくして言う。
「…そんなの…決まってるよ…」
分かるよ、明日香が言いたいこと。
それは─…
「…好きだから?」
好きだからだよね。
俺もそうだから。
好きだから、沙紀を守りたいんだよ。
好きだから、沙紀の笑顔を見たいんだよ。
全て、『好きだから』なんだよ。