歩み
胸を張って言えるよ。
だから早く聞いて欲しいんだ。
キミに、この大きく膨らんだ気持ちを。
花が咲く前に。
花を咲かせるのはキミと一緒がいい。
その時は笑顔で。
「なに?その言葉。
どこかの俳優みたい。
でも心に響くよ。頑張ろうって思えた…」
「うるせぇよ!沙紀に言うなよ?恥ずかしいんだから。」
恥ずかしく思うのなら、言わなければいいのに…と誰かはきっと思うだろう。
けど俺は言いたくて言ったんだ。
声に出して気持ちを言うと、更に好きになる気がして。
勘違い?笑ってもいいよ。
これが俺の表現なのだから。
「歩くん、沙紀を迎えに行ってあげて?これ、沙紀の住所。きっと沙紀、苦しんでいると思うから。私は…行けない。顔を会わせづらいし…ね?」
明日香が俺にある一枚のメモ用紙を渡してきた。俺はそれを何の疑いもなく受け取る。
2つ折りにされたメモ用紙を開くと、そこには住所と、ある場所の地図が書いてあった。
これは、俺が求めていたもの。
「塚本…」
「きっと聞きにくるんじゃないかなって思ったの」