歩み



こう言うと親父は俺をまたアノ目で見下ろした。

バカにすんなよ…。



「お前はもっと上を目指せ。俺はお前を私立の中学に通わせたかったのにお前は無視をしただろ?今の中学で上位を取らないでどうするんだ?
勉強するのに彼女なんて必要ないだろ」




何言ってるの?
意味が分からないよ。
さっぱり分からない。


何でお前にそんなこと言われなくちゃいけないんだよ。

ほら、沙紀が今にも泣きそうじゃないか。


やめろ、沙紀を苛めんな。



「…なんだよ、それ。
今の順位で何が不服なんだよ!!俺から幸せを奪うな!!」



初めて親父に向かって怒鳴ったかもしれない。
いつも黙って『はいはい』と軽く流しては、不満を募らせてきたから。
言った瞬間、少しだけ気持ちよかった。



「不服に決まってるだろう。」




「あの!!待ってください。どうしてそんなに歩を縛るのですか?」



突然、沙紀が口を開け、こう親父に向かって質問をした。




「決まっているだろ?
歩は俺の大事な息子だから」




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