歩み
縮まったと思った距離は、俺の勘違いだったのかな?
勘違いで終わらせたくない、出来れば。
「もうどうしたらいいかわかんねぇ…」
この日俺は沙紀と肩を並べて帰っていた。
沙紀は今日送ってもらったらしい。
理由は『俺と帰りたいから』だってさ。
可愛くてつい笑っちゃったよ。
昨日と何も変わらない夕日の色。
よかったな、同じ時間に同じ色をして姿を現すことが出来て。
こう無言のまま輝き続ける夕日に向かって言葉を吐いた。
「本当…だよね。どうして上手くいかないのかな?」
沙紀も自分なりに優と小林のことに悩んでいるようだ。
俺も一緒。
けど悩んでも、悩んでも答えは出ない気がした。
優が目覚めてくれない限り何も変わらない気がしたんだ。
「俺たちが気にしても無駄ってことなのかな?」
伸びていく影。
その影からも落ち込んでいるとすぐ分かる。
「あたしたちが悩んでも仕方ないかも…ね。あ!歩!思い出した!あたし行きたいとこあるの!」