歩み


沙紀とならきっとどこへでも行けるさ。
この温もりを失いたくない…。



「歩ー!ストップ!」



自転車を漕ぎ出してから数十分が経ったころだろうか。
沙紀が俺の背中を叩いて止まるように指示をした。
俺はブレーキをかけて、その場所を見る。
そこは、大型のゲームセンターだった。
入口には沢山の高校生で溢れている。
そしてここからでも中の音が聞こえてくる。
正直、うるさい場所だ。



「何でゲーセンなの?」


俺はワケも分からずに、自転車を駐輪場に止める。
沙紀は白い歯を見せて、「入れば分かるよ」と言って先に中に入って行った。



意味不明だよ、沙紀ちゃん。
俺あまりゲームセンターという場所が好きじゃないんだけどな。
なんか薄暗いイメージがあるから。
あと、『怖い』

俺が『怖い』と言うと変に思うかもしれないけど、何となく怖いイメージがある。



薄暗い空間を通っていく。
ふと横を見ると、UFOキャッチャーで遊ぶ女子高生がいた。
薄い壁一枚で遮られた向こう側の人形が欲しいのか、何度もお金を入れて挑戦をしている。



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