歩み
どうして、なぜ?
意味がよく分からない。
今頃邪魔して何になるんだよ?
優と小林は愛し合っているのに、何故怖そうとするんだよ…。
がちゃん…とグラスが割れた。
その音に気付いた家政婦が俺の部屋に入ってきて、それらを片付ける。
「お怪我はありませんか?」
家政婦の言葉でさえ今の俺には聞こえて来なかった。
ふと思い出す。
今日が何日かと。
そういえば今日小林の家に行くと優が言っていたな。
手に汗が滲む。
もし、優と小林が体を重ねることがあったら、小林のアザに優は気づくのでは?
急に不安が襲った。
けどこの時既に、違う意味で二人の間にはあることが起こっていたのだった。
「アザを優が見たら…」
「多分もう消えてると思うから…大丈夫だと思うよ。歩、この話は絶対に内緒ね…」
そんなの絶対言えるかよ。
口が避けても言えやしない。
これが、「あのこと」。