歩み



もしかしたら、小林は滝川先輩と…
いや、やめよう。
そんなことを考えるのはよくない。


俺は気分をリフレッシュさせるために、トイレへと向かう。
廊下は人で溢れていて、まともに歩けやしなかった。
これが人の洪水というものなのか。



「はぁ…疲れた…」



鏡に映る俺。
笑っていなかった。
笑えるかよ。
どうやったら笑えるんだよ。
誰か、教えて。



トイレは静かだ。
まるで外の状況とは真逆の世界。

ここから逃げ出したいと、優はいつも思っていたんだよな…。



トイレを出て再び人と人の間をすり抜けて教室に戻っていく。



「あ、歩ー!!」



遠くから聞こえてくる、沙紀の声。
俺は反射的に後ろを振り返った。
そこには俺に見えるように手を振っている沙紀がいた。


何やら慌てているよう。


やはり来てしまったのか。
一番恐れていたことが。



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