歩み
「うん…分かってる。でも…あたし鈴木くんに遠回しに言う…よ。こんなの…鈴木くんが可哀想だよ…」
沙紀は優に遠回しに二人のことを言うと決心していた。
その決心に俺は否定出来なかった。
否定する権利もないし、それに沙紀が正しいと思ったからだ。
優の心に響くかどうか分からないけど、少しだけでいいから、楽になってもらいたい。
それが今の願いだ。
…そして長いようで意外と短かった文化祭が終わった。
あんなに人でいっぱいだった廊下が、今では不気味なくらい静かで、廊下にはゴミが散乱していた。
それを片付けるのが俺たちの最後の仕事。
それが終わったら文化祭が終了する。
箒を持ちながら、教室に落ちているゴミを片付けていく。
優と沙紀と俺。
小林の姿はなかった。
ちらっと優を見ると、どこか遠くの方を見ていて、心ここにあらず、のようだった。
言いたいことがあるのに言えない自分がいる。
そんな自分が辛くて憎くて仕方がない。