歩み
みんながまた小林の笑顔を見れると思っていたのに、世界は酷い。
酷すぎるよ…。
小林も望んだはずだ。
またみんなに逢いたいと。
その願いは叶うことなく儚く散ってしまった…。
この日、優に明日の見送りのことを聞き、沙紀と帰っていった。
さっきの小林の別れの言葉が頭の中から離れない。
胸がざわつくのだ。
どうしてだろう?
風が強いからだろうか。
強い風が街を揺らしていく。
木々が激しく揺れる。
自転車の車輪がいつもより速く回る。
「沙紀、しっかり掴まってろよ?」
こう言って、沙紀の腕を自分に強く絡ませる。
「ねぇ、歩?」
「ん?」
沙紀は気づいていたの?これから先の運命を。
「また百合に逢えるよね…」
これを聞いた俺は、次の瞬間、瞳から涙が零れ落ちたのだ。
ゴミでも入ったのだろうか。
それとも自分も運命を知っていたのだろうか。
怖かったんだ。
震えていたんだ。
理由は分からないけれど、体がそう反応をしていた。