歩み



「斉藤くん?」



どこかで聞いたことのある声だ。
俺は慌てて後ろを振り返る。
そこには笑顔の小林がいた。


俺の頭はパニックとなる。
どうして小林がここに?


「え!?は?なんで!?」



「なんでってこっちのセリフよ?私の家、この近くなの。まさか斉藤くんがいるなんてびっくり!」



こう言って、俺の隣に座る小林。

気づかなかったんだ。
小林の瞳が赤くなっていたこと。
小林は一人で泣いていたんだ…。



公園の木々がざわめきだす。
ベンチに座る、俺と小林。
空に浮かぶ、散らばった星と真ん丸な月。



それを見上げる俺たち。



「ねぇ、斉藤くん?約束して欲しいことがあるの」



突然の小林の言葉。
俺は理解するのに時間がかかった。



「え?約束?」





なぜこの時、小林は俺と約束をしたいと言ったの?


聞きたくても小林がいないから聞けないよ…。




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