歩み
世界が滅びたと思うくらい衝撃的だった。
それくらい衝撃的だったから、忘れられないのかな?
俺は忘れたくない、小林の存在を。
だから今も探している。
優が小林の両親に挨拶をしているとき、俺と沙紀は少し離れた場所でその光景を見ていた。
二人の近くにいたら、泣いてしまいそうで嫌だった。
遠くからの方が気持ちが少しは楽になるんじゃないかと思ったのだ。
昨日の小林の言葉が離れない。
博物館で未来を繋げてきたと言った小林。
その言葉の意味を必死に探していた。
けれど見つからない。
見つかるはずないか。
「歩…あたし…だめ」
突然、沙紀がこう言って、俺に抱きついてきた。ぐすん…と鼻を啜る沙紀を見て、すぐに悟った。
沙紀は泣いている、と。
泣くなよ、沙紀。
俺も泣きそうになってしまう。
沙紀の体を包み込む。
とうとう、我慢ができなくなったようだ。
ぽたり、と落ちていく涙。
何で俺たちが泣いているのだろう。