親家業放棄

唖然

「いいお母さんだね」
当然大人はずる賢いから、本当の所それほどいい母親じゃなくても「いい母親の振り」は外では当たり前にできる。

「なぜそんなに困らせるの?あんなにいいお母さんなのに」

この言葉に事実を他人に言うことができない彼は、黙り込むしかなかった。

好きで困らせているわけではなく、現状が子供なりに納得できないからあがいているだけ。

いい子の振りをすることにも、無意味さを感じ始めたとしても無理はない。

何がどんな風に大変なのかを知らされないまま、ただ闇雲に
「家は大変なんだから」
そう言われても、子供だって困ってしまうだろう?
< 3 / 9 >

この作品をシェア

pagetop