マスカレードに誘われて
そう言って彼はイヴの前に立ち、右手を差し出す。
戸惑いながらも、彼女はロイの手をとった。
「お願いだから、あんまり中心の方には……」
「大丈夫、大丈夫。イヴなら踊れるよ」
イヴの制止を無視し、ロイは彼女を連れたままどんどん中心へ歩いていく。
「お願いだから、真ん中は止めて!」
「えー……」
イヴの必死な説得により、二人は窓際の方へ寄った。
渋々ながらも、ロイは辺りを見回す。
「まぁ、ここでいいか」
「うん。あんまり恥はかきたくないもの」
そうして、二人はステップを踏む。
イヴの足が縺れ、なかなか足取りが揃わない。
ロイの背中に手を回しながら、彼女は顔を赤らめた。