青春と幼なじみ
11時30分。
私は走って集合場所の桜丘公園に向かっていた。
「南、葉月…お待たせ…」
「ん、やっと来たか、葵」
「遅かったね」
「ごめん、行こうとしたらお母さんに呼び止められちゃって…」
後準備とかでいろいろ…。
「…ところで抱えてるその風呂敷何?」
「あ、これお母さんが3人で食べなさいって。
おはぎ…」
「へー、茜さんのおはぎかー」
「俺も一応デザートは持って来たけど、おはぎもいいね」
「じゃ、行こっか」
そう言って公園の中に入った。
この公園の奥の丘には昔から桜の木が何本も植えてあったから、桜丘公園と名付けられたらしい。
お花見をするスポットとして有名にもなっている。
「…わー、桜いっぱい!」
「すげぇーな」
「うん!」
丘につくと、そこは一面のピンク色が広がっていた。
何本あるかもわからないほど、たくさんある桜の木。
「来て良かったな」
「だよね!
こんなキレイな桜が見れるなんて…」
散っていく桜を南と一緒に見上げていると「お弁当食べよう」とビニールを広げて準備さている葉月に声をかけられた。
私と南は返事をして葉月の元に近づく。
「ほら、いっぱい作ったからたくさん食べてくれ」
葉月がお弁当のフタを開けると、中は豪華なおかずでいっぱいだった。
「あ、私の好きな物も入ってる!」
「葵は卵焼きが好きだったよな」
「よく覚えてるね」
「葵のことは何でも知ってると思ってるんだけど?」
「ははは、私だけじゃなくて、南のことも。
でしょ?」
「…そう、だな」
一瞬なんだか寂しそうな表情に見えたけど…気のせいかな?
私と南はさっそく葉月が作ったお弁当の中身を取って一口食べてみた。
「…おいし〜!」
「さすが葉月だな!
また腕上がったんじゃねぇの?」
「どうだろうな。
上がったかどうかはわからないけど、喜んでくれてるなら良かった」
ハハハと照れ笑いする葉月は少し可愛かった。