青春と幼なじみ
【葉月】
南が山田千太郎を追い払った後、俺がいた扉に走ってきた。
「おっと、ちょっと待ってください先輩」
逃げる先輩の肩を掴んでニッコリ笑う。
「くそっ、放せー!」
ジタバタと暴れる先輩に、俺は肩を押さえて動きを止めた。
「いでででで!」
「暴れないでください。
余計痛くなりますよ?」
「ひぃっ!」
さて、大人しくなったところで葵を泣かせた落とし前をつけますか…。
「山田千太郎先輩?
二度とアイツに手を出さないでください。
ていうか、指一本触れさせません。
半径二メートル以内にも近づかないでください。
もし近づいた時は…南同様、どうなるかわかりますよね…?」
「う、うわー!
わかった、わかったから!」
「じゃぁ、よろしくお願いします」
パッと肩を放すと、先輩は叫びながら階段をかけ降りていった。
これで葵にはもうちかづかないだろう。
あいつら、聞こえてたかな…。
…ま、階段の一個下の曲がり角でやったし、大丈夫だろう。
「あれ、葉月は?」
あ、俺を探してるみたいだな。
そろそろ戻ろう。