御劔 光の風2
「彼女は玲蘭華、俺たち御劔を統べる王だ。」

しかし声は心なしか低くなっていたのかもしれない。

千羅の言葉にその場にいた事情を知らない者たちは静かに息を飲んだ。

御劔を統べる王、冷静に考えて組織があるのであれば当然統率者が必要になってくる。

分かっているが、それがあの女性だとは信じがたいものがあった。

一見普通の小柄な女性、表情も柔らかでとても大役を担っているようには見えない。

しかし、事実あの強豪な侵入者に対抗できたのは彼女だけだった。

彼女の力によって今回の騒動がおさまったのだ。

「神を統べる王がなんでカルサやリュナの封印を解かれんかったんや?」

聖の声がやけに低く通った。

これも来るであろうと予想したものの一つ、少しの沈黙のあと千羅がゆっくりと口を開いた。

「分からない。あれ以来、玲蘭華も彼女と共にいたジンロも行方不明だ。」

ジンロという初めて聞く名前に何人かは頭の中に疑問符を浮かべた。

あの場に居た者はそれが誰なのか、おおよその見当はついたらしい。

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