御劔 光の風2
「御劔、ということ?」

「俺たちも詳しくは知らない。奴自身が機密事項みたいなもので、その存在を消されている。何らかの形で関わりはあるんじゃないか?」

予想はしていたが明らかにならない侵入者の正体に溜め息がこぼれる。

あれほどの力、あれほどの驚異、御劔と言われた方が納得はできないが頷ける。

少しずつ明かされていく世界を支配していた御劔の内側、絶対的な強さの裏側。

しかし明かされていくと共に深まる謎が頭の中の霧を晴らしてはくれない。

初めて聞かされる事実に困惑する気持ちは千羅も瑛琳も分かっていた。

「御劔は俺たち自身も知らないことが多い。俺が話せられるのはここまでだな。」

「申し訳ないのだけれど…今回については私たちにも分からないことが多すぎるの。」

千羅と瑛琳、二人の言葉に歯切れ悪くも周りは何も言うことができなかった。

それぞれが頭の中で出るはずのない答えを見つけだしているようだった。

千羅と瑛琳はお互いに顔を合わせ頷く。

「サルス、日向を頼む。」

「もう行くのか?」

「本来、私たちはここにいるべきではないの。もう、顔を合わせる事も無いと思うわ。」

< 433 / 452 >

この作品をシェア

pagetop