御劔　光の風２
瑛琳の言葉に、彼女たちの立場を思い出さずにはいられなかった。

表だつ行動を避け、補佐としての任務を全うする影の御劔。

こんな事態にならなければ一生彼らの存在を知ることは無かっただろう。

この場を離れようとする二人を止めるように貴未が最後の言葉を叫んだ。

それはとても素朴で意味深な言葉。

「なあ！俺、リュナが来るまで御劔って孤独なんだと思ってた。御劔って仲間同士で集まるもんなのか？」

既に去る体勢をとっていた千羅と瑛琳は振り向いて貴未を見る。

「それは普段の事を言っているのか？」

答える姿勢を見せたのは千羅だった。

「ああ。こんな一国に何人も御劔は集まるもんなのかな？」

「御劔は孤独だ。自分以外の御劔を見付けられる事はそうあるものじゃない。」

御劔の総本山に来る以外は、そう続けようとしたが話が長くなるので千羅は話さなかった。

彼らは御劔ではない一般の民。

これ以上、情報を与えるのは危険だと感じたのだ。

< 435 / 452 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop