叶多とあたし

~四年前



「おいっ!誰かいるのか!?」



ドンドンドンドン



扉を叩く音が部屋中に響いた。



「警察だ!ここを開けなさい!!10数える内に開けなければ強行手段に出る!」



警察……。



外で数を数える男の人の声が聞こえる。



二人はあからさまに戸惑っていた。




しかし、この部屋にある唯一の扉は警察に包囲された。

そして、窓はない。




逃げ道なんてものは存在しなかった。





「もうだめだ」



丸刈りが短髪男に呟いて警察に包囲された扉に手をかけた。



「待てよ」



そんな短髪男の言い分には耳を傾けず。


丸刈りは扉を開けた。




眩しい。


ライトが目に入る。



外の様子なんて分からなかったから、もうこんなに暗かったんだと思った。




短髪男と丸刈りが警察に連れて行かれる。

チャラ男はもうすでに捕まっていた。




あ……助かった……。



泣きすぎて疲れたせいもあるのか、安堵がこみ上げてきた途端、目蓋が重くなった。




あれ…お兄ちゃん……?


お兄ちゃんは………………?




警察の人が何か言っている。


だが、朦朧とした意識の中では認知できなかった。






< 55 / 67 >

この作品をシェア

pagetop