叶多とあたし
~四年前
「おいっ!誰かいるのか!?」
ドンドンドンドン
扉を叩く音が部屋中に響いた。
「警察だ!ここを開けなさい!!10数える内に開けなければ強行手段に出る!」
警察……。
外で数を数える男の人の声が聞こえる。
二人はあからさまに戸惑っていた。
しかし、この部屋にある唯一の扉は警察に包囲された。
そして、窓はない。
逃げ道なんてものは存在しなかった。
「もうだめだ」
丸刈りが短髪男に呟いて警察に包囲された扉に手をかけた。
「待てよ」
そんな短髪男の言い分には耳を傾けず。
丸刈りは扉を開けた。
眩しい。
ライトが目に入る。
外の様子なんて分からなかったから、もうこんなに暗かったんだと思った。
短髪男と丸刈りが警察に連れて行かれる。
チャラ男はもうすでに捕まっていた。
あ……助かった……。
泣きすぎて疲れたせいもあるのか、安堵がこみ上げてきた途端、目蓋が重くなった。
あれ…お兄ちゃん……?
お兄ちゃんは………………?
警察の人が何か言っている。
だが、朦朧とした意識の中では認知できなかった。