叶多とあたし


あの後、あたしは3日間だけ入院して様子をみたが心身に異常はなく、そのまま退院となった。



でも、叶多は一度もお見舞いには来てくれなかった。


確かに入院は3日間だけだったけれど…。


一回ぐらい来てくれても……なんて思ったりもした。





あたしがこうなったのはお兄ちゃんのせいなのに……。



そんな思いは何度頭を巡ったか。





退院して叶多とはよそよそしくなった。

叶多はあたしを避けているようで。

必要以上の会話はしない。そんな関係が続いた。




学校でだって……みんな、あたしのことを腫れ物みたいに扱って…。

友達はいつも通りに接してくれたけれど、学校が居心地の悪い空間に変わっていって辛かった。






なのに叶多は相変わらずよそよそしくて。




終いには大学のために家を出て行ってしまった。




逃げられたみたいで悲しかった。





「大っ嫌い」



無人になった兄の部屋を見てそう呟いたのだった。



清々するわ。


あんなやつ……もう戻って来なくていい……!







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