ヤサオトコ
栗崎は、呆然と田原の後ろ姿を見送っていた。
(どうしよう)
(こんな不景気な時代に、新しい仕事を探せるだろうか)
栗崎の胸に、不安の大波が津波となって押し寄せて来た。
田原は橋爪部長の胸の内を確かめる為、大急ぎでホーム食品に向った。
「千通の田原でおます。橋爪部長をお願い出来まっか」
田原が受付の若い女性に頭を下げた。
「宣伝部の橋爪ですね」
「はい、そうでおます」
「少しお待ち下さい」
そう言うと、受付の女性は内線電話を掛けた。
「はい、わかりました」
女性が受話器を置いた。
「申し訳ございません。橋爪はいま外出致しております」
「そうでっか。ありがとさんでおます」
田原が受付の女性に礼を言った。