ヤサオトコ
シャワールームの先客は、火事には、きっと気が付いていない。
そんな思いが、栗崎の脳裏を過ぎった。
ドンドンドン。
「火事だ。逃げないと焼け死ぬぞ」
ドアを乱暴に叩いて、栗崎が大声を張り上げた。
「ま・待って。今すぐ・・・こ・ここから出るから」
中から、男の声がした。
バターン。
中から、男が慌てて出て来た。
男はパンツを穿いているだけで、上半身は裸。
髪の毛に、まだシャンプーの泡が付いている。