ヤサオトコ

 男も安堵の表情をしている。
 暫くすると、男は下着一枚だけに気が付いた。


 「あっ、いけない」


 男は慌ててスラックスを穿き出した。
 その時、サイレンが幾つも聞こえて来た。



 ウーウーカンカン。


 ウーウーカンカン・・・。



 サイレンの音が少しずつ大きくなって来る。
 消防車が次から次に到着した。
 そして、パトカーも。


 栗崎はビルの3階を見上げた。
 窓からは、煙が少し出ているだけで、火の手は見えない。


 「小火だったのか」


 栗崎は死ぬ思いでビルを脱出したので、少し拍子抜けだった。
 物々しい出で立ちの消防隊員が、数人急いでビルの中に入って行った。






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