ヤサオトコ
「なあんだ。体力が無いな。これ位で、はあはあ言ってら。まだ20代だろう」
男が栗崎を見て、にやっと笑った。
「・・・」
「ここが俺のねぐらだ」
男が公園のベンチを指差した。
「えっ、公園のベンチが・・・」
栗崎がベンチを見て驚いた。
「このベンチが俺の定宿だ」
「驚いたなあ。まだ、30代だろう。ホームレスには見えなかったよ」
栗崎は男の上から下までを見た。
濃紺のブレザー。
下に、ブルーのワイシャツ。
そして、グレーのスラックス。
(どう見ても、普通のサラリーマンにしか見えない)
栗崎は男を見て、そう思った。