ヤサオトコ

 「なあんだ。体力が無いな。これ位で、はあはあ言ってら。まだ20代だろう」


 男が栗崎を見て、にやっと笑った。


 「・・・」
 「ここが俺のねぐらだ」


 男が公園のベンチを指差した。


 「えっ、公園のベンチが・・・」


 栗崎がベンチを見て驚いた。


 「このベンチが俺の定宿だ」
 「驚いたなあ。まだ、30代だろう。ホームレスには見えなかったよ」


 栗崎は男の上から下までを見た。


 濃紺のブレザー。
 下に、ブルーのワイシャツ。
 そして、グレーのスラックス。


 (どう見ても、普通のサラリーマンにしか見えない)


 栗崎は男を見て、そう思った。






< 125 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop