ヤサオトコ
「死なせたくはないんだ」
「なぜだ」
「あんたは、明日の我が身だから」
栗崎は本心でそう思った。
「・・・」
「受け取って欲しい」
「わかった。借りるよ」
栗崎は男に1万円札を渡した。
「必ず返すから。住所と名前を教えてくれないか」
栗崎は名刺の裏に住所を書いた。そして、それを男に渡した。
「栗崎さんか。俺、里中進。よろしく」
「こちらこそ、よろしく」
「いま、何時だ」
「12時前だ」
栗崎が腕時計を見た。