ヤサオトコ

 房江は雑巾をバケツに放り投げると、大急ぎで1階に駆け降りた。


 「誰かいるんか。まさか泥棒やないやろな。いややで」


 房江は思わず携帯電話を取り出して110番にセットした。


 「そこにおるんやろ。黙って入ってからに。出てこんと警察に電話するで」


 房江はトイレに向って大声を上げた。



 「す、すみません」



 中から虫の鳴くような声がした。
 栗崎は便器に蹲り、茶色の液体と格闘していた。



 ピーピピピィピィ・・・。



 中から変な音がする。



 ピーピーピピピィピー。


 ピピピピピィー。



 ジャ~ジャ~。



 「すいません。下痢なもので。黙ってお借りして申し訳ありません」


 スラックスを下に落とした栗崎が、頭を下げた。






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