ヤサオトコ
「何や。下痢かいな。泥棒かと思たわ」
房江が胸を撫で下ろした。
「怪しい者ではございません。すぐ出ますから」
栗崎が便器に蹲りながら頭をぴょこんと下げた。
「まだ、開店してへんからな。掃除の途中で店を開けていただけや」
「すみません。お腹が店の前で急に痛くなったもので」
「しゃあないな。はよ、出てや」
「すぐ出ます」
栗崎が小さく返事。
それから、5分程経った。
「まだかいな。ほんま遅いな」
房江が栗崎を急かした。
「まだ、お腹が痛くって・・・。誠に申し訳ありません」
「あとどの位かかりそうや。掃除も残ってるし、仕込みもあるねんけど」
「出たいのですけど、出れないのです」
「ひどい下痢やな。そんなんで会社に行くつもりか」
「下痢続きで、最近、会社に迷惑を掛け続けています。そんな訳で、休む訳には・・・」
「ふ~ん。そや、ちょっと待っときや」
房江は急いで二階に駆け上った。そして、6畳の和室の押入れを開けた。