ヤサオトコ
房江が押入れの中に首だけ入れて、独り言を呟いた。
「確かこの辺に置いてんけどな」
「どこに置いたかな」
「母親の介護で使った物がまだ残っていたはずやけどな」
「あっ、あった。あった」
房江は、介護用の紙おむつを奥から取り出した。
房江の母親は、1年程前に亡くなった。
その時、紙おむつだけは、捨てられずに保管していた。
栗崎は中々便器から立ち上がる事が出来なかった。
「また、遅刻だ。どうしょう」
立ち上がろうとすると、腹がしくしく痛み出す。
栗崎は時計を見ながらいらいらしていた。