ヤサオトコ

 「じゃ、倭乃国屋書店の前で、6時はどう」
 「わかりました」

 栗崎が野乃絵との待ち合わせを渋々承諾をした。


 「まさか、待ち合わせ出来るとは思っていなかったわ。じゃあ、その時」


 野乃絵は駄目もとで、バレンタインデーの日に栗崎に電話したのだ。


 「約束が無いのか。なら、脈ありあり。一丁決めたろやないか」


 野乃絵は俄然、闘志を燃やした。


 二人は倭乃国屋書店の前で落ち合い、近くの喫茶店に入った。


 「感激やわ」


 席に座ると、いきなり野乃絵が口を開いた。

 「何がですか」
 「バレンタインデーにデート出来るなんて、思ってもみなかったわ」
 「どうしてですか」


 栗崎が、怪訝そうな顔をして野乃絵に尋ねた。





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