ヤサオトコ
「だって、栗崎さんて、めちゃイケメンやないの。女の子がほっとくはずないわ」
野乃絵が意地悪な目をして言った。
「そんな事ないですよ」
栗崎が手を振って、それを打ち消した。
「バレンタインデーの日によ。考えられないわ」
「そんな事より、絵を見せて下さいよ」
栗崎が意識的に話題を変えた。
「そうそう、忘れていたわ。これよ」
野乃絵が額に入れた4号の絵を、テーブルの上に置いた。
「一つの貝殻に、2匹のヤドカリですか。面白い絵ですね」
栗崎が絵を見て感想を述べた。
「もっぱら、海の生き物を描いているの。ヤドカリ、いいでしょう」
「色使いがいいですね。蛸も良かったけど、今回の方がもっといいですね」
「そらあ、魂を込めているもの。一筆入魂よ」
「そうなんだ」
栗崎が感心した。