ヤサオトコ




 「ねえ、同じ宿を持つって言うのはどう?」




 野乃絵が意味深な言葉を栗崎に発した。


 「それって、どう言う意味ですか」
 「この絵のようにならないか、と言う事よ」


 「ええ、そんな事、考えた事も・・・」


 栗崎が思わず野乃絵の顔を見た。
 野乃絵は獲物を狙う獣のように、真剣な眼差しだった。


 そこへ、ウエイトレスがコーヒーを運んで来た。
 ウエイトレスは、テーブルの上の絵を見詰めて困惑した顔をしている。


 それに、栗崎が気付いた。


 「仕舞いませんか。拝見させて頂きましたから」
 「ええ、そうするわ」


 野乃絵が、絵を片付けテーブルの脇に置いた。





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