ヤサオトコ
ウエイトレスが、コーヒーをテーブルに置いた。
コーヒーの香ばしい香りが漂って来る。
栗崎がコーヒーをひと口啜った。
「私なら特典付きよ」
野乃絵が、栗崎の目を見て口を開いた。
「特典・・ですか」
栗崎は野乃絵の意図がよく摑めない。
「そうよ。他の女性には、絶対に真似の出来ない凄い特典よ」
「・・・」
「栗崎さんの大好きな母が、本当の義母になるというね」
野乃絵の目が輝いた。
「お母さんですか。確かに・・・」
「どんなに甘えてもいいのよ。本当のお母さんなんだから。どう、母の息子になるのも、悪くないと思うけど」
「確かに、魅力だなあ。でも、それと結婚とは、別だと思うなあ」
「別。じゃ、一つだけ、聞いてもいい」
「何ですか」
「栗崎さんの理想の人って、どんな人」
「理想の人ですか」
栗崎の脳裏に、全く予想外の人が思い浮んだ。