ヤサオトコ
(そんな馬鹿な)
栗崎は、思わずそれを打ち消した。
「そんな人、いませんよ」
栗崎が咄嗟にはぐらかした。
「栗崎さんって女性がお嫌い」
「そんな事、絶対に無いですよ」
「もしかして、男の人が・・・」
「それは、ないですよ」
「そう、じゃ、私がお嫌いなだけね。わかったわ」
野乃絵がいきなり立ち上がった。
「ここのお勘定、お願いね。じゃ、私、寄る所がありますので」
「勘定はいいですけど。その絵は」
「好きにして下さい」
そう言うと、野乃絵は足早に立ち去った。