ヤサオトコ

 下に下ろしたスラックスを横にずらすと、栗崎は立ち上がった。


 母親が、赤子におむつをいている姿。
 それを思い浮かべながら、栗崎が恐る恐る紙おむつを手に取った。


 「前はどちらだ」
 「こっちか」


 「これを股に通せばいいのか」
 「ううん、うまく巻けない」


 栗崎が紙おむつと格闘しながら、独り言を呟いている。

 「どう」


 房江が、いらいらしながら栗崎に尋ねた。


 「ええ、何とか」
 「遠慮なく言うてや」


 「あ、はい。ええと、これでいいのかな。いや、ぶかぶかだ」
 「これじゃ、ずり落ちそうだ」


 「ああ、どうしよう」


 無様な紙おむつ姿を見下ろしながら、栗崎は弱り果てていた。






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