ヤサオトコ
(これで良かったのか)
栗崎が心の中で呟いた。
(明日で、千通とはお去らばだ。
これで、田原の顔を見る事も無いだろう。
良かった。
これだけでも、大いに良かったじゃないか)
栗崎は自分で自分を納得させていた。
(お母さんは寝たみたいだ)
栗崎が房江の寝顔を覗き込んだ。
(顔が近すぎる。大画面並みのどアップだ)
(見たくない)
(皺に埋もれてる~)
栗崎は房江の顔が見えないように、仰向けに寝返った。
天井の木目が、いろんな表情をしている。
「母は寝ましたか」
横から、野乃絵の声がした。