ヤサオトコ
 
 「市村さんには、とりわけお世話になりました。感謝しています」


 栗崎が、美奈代に向ってぺこっと頭を下げた。


 「うううん。力に慣れなくてご免ね」


 美奈代はそう言って別の課員のお茶を入れるため、移動して行った。
 栗崎は、開放感に浸りながらお茶を啜っていた。


 「うわあ。何や、これは。ぺっぺっぺっ」


 その時、課長の田原の大きな声がした。


 「こんなもん、飲ませやがって」


 田原は、お茶を吐き出して激怒している。


 「青酸カリだわ」

 
 どこからともなく、悲壮な声が。


 「誰か、救急車を」


 女子社員が大きな声を上げた。


 「せせせ青酸カリ。もう・・・」


 田原が気絶をして、その場にばたんと倒れてしまった。







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