ヤサオトコ


 「課長、栗崎さんを苛めて、女子社員から恨まれているから」

 「それじゃ警察も、犯人捜すの大変ね」
 
 「うちやったら、毒蛇使うなあ」


 床に寝転ぶ課長を囲んで、女子社員たちが好きな事を言っている。


 「あっ悪い。砂糖と塩を間違ったみたい」


 その時、誰か女子社員が言った。


 「課長、塩ですよ」
 「塩」


 田原の耳元で、女子社員が大きな声で。


 「何や、塩か。辛いはずや」


 うわ言のように呟くと、田原が目を開けた。


 「課長、お早うございます」


 そう言うと、女子社員たちが、どっと笑った。


 「笑い者にしやがって。承知せえへんで」
 「大怖~」
 「三十六計逃げるに如かず」


 田原の言葉で、女子社員たちが肩をすぼめて退散をした。






 
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