ヤサオトコ
「この近くにあるホテル『動物園』に行きたいの」
「行けないよ」
野乃絵の提案には、栗崎は到底従う事は出来なかった。
「どうして」
「当たり前だろう」
「不自然よ。私と一緒になる方が、ずっと自然よ」
「・・・」
「二人の子供を早く生んで、母に孫を抱かせて上げたいの」
野乃絵の目が、獣のように輝いた。
「そんなあ」
「孫を抱けば、母だって、二人の事を認めるはずよ。母は息子を。あなたは義母を持てばいいのよ」
「まだ、そんな事を言っているのか」
栗崎が呆れた顔で野乃絵を見詰めた。