ヤサオトコ


 「この近くにあるホテル『動物園』に行きたいの」
 「行けないよ」


 野乃絵の提案には、栗崎は到底従う事は出来なかった。


 「どうして」
 「当たり前だろう」


 「不自然よ。私と一緒になる方が、ずっと自然よ」
 「・・・」


 「二人の子供を早く生んで、母に孫を抱かせて上げたいの」


 野乃絵の目が、獣のように輝いた。


 「そんなあ」
 「孫を抱けば、母だって、二人の事を認めるはずよ。母は息子を。あなたは義母を持てばいいのよ」


 「まだ、そんな事を言っているのか」


 栗崎が呆れた顔で野乃絵を見詰めた。






< 213 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop