ヤサオトコ

 三日後、野乃絵は豊中のワンルームマンションに引越しをした。
 急な野乃絵の引越しに、房江は呆気に取られていた。


 「何があったんや。訳がわからんわ。けど、ええ話や。せやけど、めでたいなあ」


 房江は小躍りをして喜んだ。


 その日以後。
 房江と、栗崎の、水入らずの生活が始まった。


 房江は二人になると、栗崎にべたべたするようになった。
 何かと、甘えるようになった。


 栗崎は素っ気無かった。
 房江が近付く程、栗崎は遠ざかった。


 (きもいんだよ。べたべたしないでくれ)



 (しー、しー)



 野良猫を追い払うように、栗崎は心の中で房江を追い払っていた。
 それ以後、栗崎は出来るだけ房江と、二人きりにならないように心掛けた。





 
 
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