ヤサオトコ

 「なぜ、死ぬ必用があるんだ」


 女は執拗に質問を投げ掛けてくる。


 「金が底を付くからだ」


 あっははははっ・・・。


 はっはっは・・・。


 女が突然、大きな声を上げて笑い出した。


 「金が底を付くから死ぬ。笑わせるなよ。そんな理由で死ぬなら、私は何十回も死んでいるよ」


 女の顔が、世間を知り尽くしたような大人びた顔になった。


 「金が無くても、何とかなるものさ。それが、世の中というものだよ。現に、私は金が無くても生きているよ。」
 「盗みで食い繋いでいるのか」


 栗崎が、意地の悪い言葉を投げ掛けた。
  



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