ヤサオトコ

 「盗まなくても、これだけの大都会なら、十分に食っていけるよ」
 「・・・」


 「嘘だと思っているのか」
 「・・・」


 「嘘だと思うなら一緒に暮らしてみるか」


 女が妙に真顔で言った。


 「盗みをしないと約束出来るか」


 栗崎も真顔になった。


 「約束するよ」
 「それなら交渉成立だ」


 「嬉しい!」


 女が心底嬉しそうな表情をした。


 「私の名前は、川井郁。あんたの名前は」


 郁は栗崎の名前が知りたかった。それで、自己紹介をした。


 「俺?俺の名前は、栗崎晃司。よろしく」
 「こちらこそ、よろしく」


 二人は互いに軽く頭を下げた。







 
< 238 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop