ヤサオトコ
郁がダンボール紙を床に並べ始めた。
縦に2枚並べ、2枚重ねにする。
「さあ、ベッドが出来たよ。私特製のベッドよ。今日は、晃司がここで寝るといいよ。私は寝袋で寝るからね」
「ありがとう。カバンとダンボール紙は、いつもここに置いているの」
栗崎がカバンとダンボール紙を見て、郁に尋ねた。
「うううん。仕事に行く前に、先程ここに置きに来たんだ」
「さすが、先輩。ぬかりがない」
「ここは、寝るだけの場所だから。夜遅く来て、朝早く引き上げる。これが基本だよ」
「そうなんだ。こんな生活は長いの」
晃司が壁にもたれながら郁に尋ねた。
「孤児院を脱走してからだから、もう3年位かな」
同じように壁にもたれている郁が、寂しそうな表情で答えた。