ヤサオトコ
「ごめんね。折角、眠っていたのに。そろそろここを出る時間よ」
「今、何時」
栗崎が郁に時間を尋ねた。
「6時過ぎよ。月、水、金は清掃の日なの。もうじき清掃が入る時間よ。急いでね」
「はや~」
「早く。早く。見つかりたくないのよ」
「わかった。わかった」
郁がバッグを持ってドアを半開きにしていて、栗崎を待っている。
栗崎が段ボール紙4枚を脇に抱えた。
「それは、いいのよ。そこに置いておいて」
「持って行くのじゃないの」
「それは、取られてもいいから、壁に立て掛けておいて。無くなれば、この部屋に誰かが入って来たって事でしょう。むしろ、目印になるし」
「ああ、そうか」
栗崎が納得した顔で郁の後に従った。