ヤサオトコ
栗崎のバッグを衣装ケースの中に入れると、郁はゴミ袋の上に木の板の蓋をし、土を被せた。
仕上げは枯れ草。
郁が、ぱらぱらと枯葉を辺りに撒き散らすと、元の状態に。
「どう。これなら誰かが近くを歩いても、分からないでしょう」
郁は自身たっぷりだ。
「これで人の目を気にしないで、行動が出来るという訳」
「なるほど」
「ホームレスの極意は、絶対にホームレスだと他人に見抜かれない事。普通の人に見えれば、普通の人のように行動出来るわ」
「さすが、ホームレスの達人」
栗崎は、郁と行動を共にして正解だと思った。