ヤサオトコ
紙の袋の中には、袋に一杯のパンくずが詰まっていた。
「食べる?」
郁が紙の袋を栗崎に差し出した。
「パンくず」
「そう。これだけで30円よ。安いでしょう」
「おいしい」
栗崎が、パンくずを口に頬張って感想をひと言。
「これだけあれば、暫くは食事も大丈夫」
パンくずが入った紙袋を見て、郁が満足そうな顔をした。
「固くならない」
「固くなれば、ビルの湯沸し室のコンロで焼くわ。ちょっと焦げたパンも、香ばしくって焦げうまだよ」
郁が言うと、焦げたパンも美食グルメに早代わり。