ヤサオトコ

 栗崎はぶつぶつ言いながら、早足で歩いていた。


 「また、遅刻だ」
 「またまた、課長にいびられる」


 「いっその事、会社を休もうか」
 「いや、休めない・・・」


 「泣きたくなるよな」


 栗崎はべそを掻いていた。

 
 阪神出屋敷駅へ。
 栗崎が梅田行きのホームに着くと、すぐに普通電車が入って来た。


 尼崎で急行電車に乗り換える。
 車窓を見ながら栗崎は、入社の頃を思い浮かべていた。


 栗崎は入社してマーケチング部に配属された。
 配属されてから数日の内に、ある噂が流れた。




 新入社員の栗崎は



 やべぇ!
 超極上のイケメンだ!





 この噂は、女子社員から女子社員へ、電光石火に広まった。




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