ヤサオトコ
それからと言うもの、連日、女子社員達の栗崎詣でが始まった。
用も無いのに、女子社員達がマーケチング部をぞくぞく訪問。
来るわ。来るわ。来るわ。また、来るわ。
10代のアルバイト社員から、お局社員までが連日ぞろぞろ。
「杉潤よりええ男やわ」
「玉本宏にも負けてない」
会社中の女子社員達が色めきだった。
時間無制限。
その当時、マーケティング部には、女子社員の黄色い声が絶えなかった。
(俺はパンダじゃ無い)
(じろじろ見るなよ)
(容姿端麗に生みやがって)
(なぜ、もっと不細工に生んでくれなかったのだ)
粘り付く視線が煩わしい。
栗崎は心の中で両親を心底恨んだ。