ヤサオトコ
「待って下さい」
栗崎は咄嗟に冴の唇から、それに続く舌から逃げた。
「気に入ったわ。すぐに応じていたら、今までの洟垂れ小僧とは、偉そうな事を言っても50歩100歩。あなたは鍍金じゃ無く、純度の高い24金みたいね」
そう言って、冴は挑発を止め、大人しく元の席に座った。
栗崎の純度を、冴は自分の味覚で試したみたいだ。
(怖い人だ)
栗崎は目の前の席に座るオーナー経営者を、成功する経営者は違うと思った。
(こらあ、VIPの客は、一筋縄では行かないぞ。すってんころりん。甘く見たら、足元をすくわれる。これは、心して接客しないと・・・)
栗崎は、心の中で褌の紐をキューと締め直した。